かなり,きつめのタイトルで申し訳ございません。しかし,どうしてもお伝えしなければならないことがあります。特に,小学生の保護者の皆様,ぜひご覧ください。
現在,各小学校で行われている英語は,「外国語活動」とされており,教科ではありません。歌やゲームなどによって,英語に慣れ親しむことが目的です。学校や自治体によって,その内容は異なり,成績評価もありません。
ところが,2020年度から,小学校5,6年生の英語は,正式な教科になります。つまり,今の小学校2,3年生が,5,6年生になったとき,小学校の英語(外国語)は,教科になるわけです。外国語教育が大きく変わろうとしています。
では,小学校の英語が教科かされると,いったいどうなるのでしょうか?
まず,成績が評価されます。算数や国語などのように通知表に関わってくるということです。公立中高一貫校などを受験する生徒にとっては,影響は必至です。
「うちの子は,中学受験をしないから,大丈夫」とか「2020年には,中学生になっているから問題ない」などと,お考えになっている保護者の皆様,ここからが,重要です。
前述しましたように,2020年度から,小学校学習指導要領が改訂され,英語が教科化されます。その1年後2021年度には,中学校学習指導要領も改訂されます。その主な変更点は,以下のとおりです。
① 外国語の授業は,基本的に外国語で行う。
② 中学校での習得すべき英単語数を1800語程度とする。
③ 高校1年生が習っていた文法を中学校で扱うこととする。
この中学校学習指導要領の改訂は,2020年度に小学校学習指導要領が改訂されることを踏まえてのものです。つまり,すでに小学校で2年間英語を学習したという前提のもとに,中学校での授業が行われることになります。
例えば,現在の中学校1年生は,アルファベットの書き方から学びますが,これからは,それをやらないということです。なぜなら,小学校でアルファベットの書き方はマスターしたはずだからです。
さて,①は,英語の授業は英語で行うということと,ほぼ同義ですが,スピーキングの時間が増えるだけで,大きな変化はないと思います。問題は,②と③です。
②について。現在は,1200語程度の単語を習得することが目標とされておりますが,改訂後,中学校では1800語程度の単語を習得することが目標とされます。「600語も増えるなんて少したいへんだなあ」と思われるだけかもしれません。そうではないのです。実は,小学校において,600~700語の英単語を習得済み,ということが前提の話なのです。ですから,小学校の英語教科化以前の生徒が中学生になったら,2500語程度の英単語習得が求められることになるわけです。約1300語増,現在の約2倍の量の英単語が課せられるわけです。大変な負担増です。
③について。現在,高校1年生で習う文法が,中学3年生におりてきます。現在完了進行形や仮定法などを,中学校で習うことになります。
これらのことによって誰が困るのか?
そうです。現在,小学5年生が中学3年生になったときに,突然,教科書が難しくなり,困る生徒が続出する可能性があります。現在の小学5年生は以下のスケジュールで進んでいきます。
2018年 小学6年生 変化なし。
2019年 中学1年生 変化なし。
2020年 中学2年生 小学校での英語教科化。すでに中学生なので小学英語を学習できない。
2021年 中学3年生 中学校学習指導要領改訂。教科書が難しくなる。
高校入試の問題は,改訂後の範囲で出題されるはずですから,かなり難しくなることが予想されます。
「そうはいっても,結局,条件はおなじでしょう?」とお考えだとすれば,それは違います。学習指導要領が改訂されるときには,移行措置が取られます。2018年,2019年は小学校での英語教科化移行措置となり,2020年の完全実施に向け,動き始めます。ところが,2018年,2019年は,「移行措置」と「先行実施」のいずれかを,自治体ごとに選択できるようになっています。少しずつ変えていくのが「移行措置」,すぐに2020年と変わらないレベルで行うのが「先行実施」です。したがって,こちらの市は移行措置を選んだので英語のコマ数は少し増えたくらい,あちらの市は先行実施を選んだので大幅に増えた,というようなことが起こるかもしれません。そのため,自治体に関係なく実施される入試では,自治体間で,大きな格差が生まれてしまう恐れがあるのです。
では,いったいどうすればいいのでしょうか?
今からすぐに英語の勉強をするしかありません。本屋には,小学生向けの英語ドリルがあります。それを1冊やり込むのもいいでしょう。兄姉がいるのであれば,英語の教科書を借りて単語を覚えていくのもいいでしょう。英会話教室に通っているのであれば,習った単語は読めて書けるようにしておいてください。
吉田塾では,ご家庭での英語学習法について,個別にアドバイスをさしあげることができます。ご質問や,ご相談がある方は,いつでもお問い合わせください。